小倉山

JR嵯峨嵐山駅から徒歩で二尊院へ。平日の午後のこともあり、すれ違う観光客は数組のみ。釈迦如来立像と阿弥陀如来立像が並ぶお姿に不思議と違和感が無く、しばし見入ってしまいました。本堂裏手を登った先には、小倉百人一首を選定した藤原定家の山荘である時雨亭の跡があります(山荘跡といわれる場所はいくつかあるそうで、二尊院もその1つのようです。)。二尊院からほんの少し歩いて祇王寺へ。「平家物語」にも登場する祇王寺は、平清盛の寵愛を受けた白拍子の祇王が清盛の心変わりにより都を追われるように去り、母と妹とともに出家した尼寺だそうです。祇王が出家したお姿の像は、どこか寂しげな表情です。祇王寺の庭は一面が苔で覆われていて、周りの木立を抜けて差し込んだ日差しが、幻想的なシーンを創り出していました。滝口寺は祇王寺のすぐ隣です。出家した滝口の武士(平安時代 に内裏、天皇の警護 を行ってた武士)である滝口入道と横笛という女性の悲恋物語で有名なお寺で、40年ほど前には、本堂で年配の女性が不思議な抑揚のある京言葉でこの悲恋物語を語ってくれたそうですが、今はそのような方は見受けられず、ただひっそりと、滝口入道と横笛の木像が並んでいます。滝口寺には、新田義貞の首塚があり、一説によると、京都の三条河原で晒されていた首を、妻が夜中に盗み出してこのお寺に逃げ込んだとか。これも悲恋なのでしょう。

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